【12月25日 AFP】イランの首都テヘラン(Tehran)で1979年に起きた米大使館占拠事件で、444日にわたって武装学生グループの人質となった米国人53人に、ついに補償金が支払われることになった。このほど米議会を通過した来年度予算案に盛り込まれた条項に基づき、元人質は拘束1日当たり1万ドル(約120万円)、最大440万ドル(約5億3000万円)を受け取れる。

 1981年に結ばれた人質解放をめぐる合意により、元人質たちはイラン政府に賠償金を請求できず、これまで36年にわたり何の補償も得られずにいた。しかし、米国で今年、米金融制裁下のイランと経済取引を行ったとして仏銀行最大手BNPパリバ(BNP Paribas)に罰金89億ドル(約1兆700億円)を科す判決が下ったことで、テロ被害者への補償金の財源が確保できた。

 補償金はイラン、北朝鮮、シリアなどの米制裁対象国と違法に取引をした企業に科せられた罰金が財源となるという。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が先週署名した予算案によれば、補償金の対象には、1983年のレバノン米大使館爆破事件や1998年にケニアとタンザニアで起きた米大使館爆破事件など、他の国家支援テロ攻撃の被害者も含まれている。

 1979年11月に起きたイラン米大使館人質事件では、当初66人が人質となった。うち13人は同月中に解放され、1人が翌80年7月に健康悪化のため解放されたが、米国人52人が444日間拘束されていた。(c)AFP/Michael Mathes