【12月16日 AFP】15日に行われた2016年米大統領選、共和党指名争いの候補たちによる第5回目の討論会では、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」対策が中心的な争点となる中、「イスラム教徒の入国禁止」を掲げるドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に対し、ジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)元フロリダ(Florida)州知事ら他の候補たちが攻撃を繰り広げた。

 フランス・パリ(Paris)での同時テロ事件や、米カリフォルニア(California)州サンバーナーディーノ(San Bernardino)での銃乱射事件が発生してから間もない時期に行われた9人の候補による今回の討論会では、米本土へのテロの脅威やイラクやシリアのIS打倒戦略などが論点として急浮上した。

 共和党指名争いの候補たちは口々に米国の自由が脅かされていると表明したが、一方で、扇動的な反イスラム発言をする不動産王トランプ氏へも批判の矛先を向けた。

 ジェブ・ブッシュ氏は、これまでの選挙戦での劣勢を挽回しようと強気に発言し「平和を愛するイスラム教徒たちとの関係を断ってはいけない。われわれだけでやろうとすれば、失敗を招く」と述べた上で「ドナルド(トランプ氏)は一言いうのがうまい。しかし、混乱を巻き起こす候補であり、大統領になっても混乱を巻き起こすだろう」と述べた。

 アイオワ(Iowa)州から火ぶたが切られる共和党予備選まで、残すところ7週間の時点で現在トップのトランプ氏を急激に追い上げているマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員も、トランプ氏の掲げる「イスラム教徒の入国禁止」政策を一蹴。さらに、ランド・ポール(Rand Paul)上院議員が「特定の宗教を禁止したり、インターネットを監視したりすれば、その時点でテロリストの勝利だろう」とたたみかけた。

 しかし、14と15日に発表された世論調査の結果で2位につけたテキサス(Texas)州選出のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員は、トランプ氏批判に関しては慎重で、もしも自分が大統領になれば「ISIS(ISの別称)やイスラム過激派のテロリズムは、私というこれ以上にない決然とした敵を相手にすることになるだろう」と語るにとどまった。

 イスラム過激派との対決について、トランプ氏はこの討論会では短く触れただけで、ブッシュ氏との激しいやりとりの方が注目された。トランプ氏がブッシュ氏について「非常に良い人物だ」と持ち上げつつ「しかし、われわれには強さが必要だ」と述べると、ブッシュ氏は「ドナルド、そんな侮辱を言うばかりでは大統領になれないだろう」「私は強さを持っている」と応戦した。(c)AFP/Robyn Beck with Michael Mathes in Washington