【12月14日 AFP】ロシア国防省は、ロシアの駆逐艦がエーゲ海(Aegean Sea)で13日、トルコの漁船との衝突を避けるために警告射撃を行ったと発表した。両国は、先月のトルコ軍によるロシア軍機の撃墜をめぐり激しく対立している。

 同省は「エーゲ海北部、ギリシャのリムノス(Lemnos)島沖22キロ地点にいたロシアの巡視船スメトリブイ(Smetlivy)の乗組員が、トルコの引網船との衝突を回避した」と発表。警告のために小火器を発砲したと付け加えた。

 同省によると、グリニッジ標準時(GMT)の13日午前6時3分(日本時間同日午後3時3分)、ロシアの駆逐艦が、約1キロ離れた右側の海上から接近するトルコの漁船を発見。「スメトリブイによる幾度もの試みにもかかわらず、トルコの引網船は無線連絡に応じず、また特別な可視信号にも応答しなかった」という。

 両船の間隔が約600メートルになると、ロシア船の乗組員は「船舶衝突を防止するため」に、「生存保証距離」にある漁船に向かって小火器を発射せざるを得なかったと、ロシア政府は説明。「その直後にトルコ船は大きく針路を変更して、進行を続け、ロシア乗組員と連絡を交わさないまま、スミトリブイから540メートル離れた距離を通過した」と、ロシア国防省は述べている。

 同省によると、この出来事の後、アナトリー・アントノフ(Anatoly Antonov)露国防次官はトルコの大使館付武官を呼び、「(シリアに展開されている)ロシア軍の分遣隊に対するトルコによる軽率な行為がもたらす悪影響」について警告するとともに、ロシアは「駆逐艦スメトリブイに関するトルコ側の挑発行為に重大な懸念を持っている」と述べた。

 両国の関係は、11月にロシアの戦闘機がシリア国境付近でトルコ軍に撃墜されて以降、冷戦(Cold War)終結以後で最大の危機にさらされている。(c)AFP