【12月10日 AFP】タイの軍事政権は10日、フェイスブック(Facebook)で国王の加工写真に「いいね」を押したとして、タイ人の男性を逮捕したと発表した。タイでは、軍事政権下で「不敬罪」による訴追が急増している。

 これに先立って、先月行われた講演で王室を中傷したとして、駐タイ米大使に対する不敬容疑の捜査が始まっていた。同氏は演説の中で、不敬罪で民間人が長期にわたる禁錮刑を言い渡されることに懸念を表明していた。

 国王の加工写真に「いいね」をしたのは、自動車部品工場に勤務する男性(27)。軍事政権の法務官によると、扇動罪や不敬罪、コンピューター犯罪の容疑で男性をバンコク(Bangkok)郊外の自宅で逮捕した。

「(容疑者は)12月2日、国王の加工写真に『いいね』を押し、友達608人と共有した」と軍政の法務官は述べている。加工写真は国王を否定的に描いたもので、男性は容疑を認めており、最高で禁錮32年が科される可能性があるという。タイの法律は、プミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王(88)と王妃、皇太子、摂政への侮辱について、最高15年の禁錮刑を定めている。

 男性は軍のクーデターによって崩壊した前政権を支持する「赤シャツ隊(Red Shirts)」のフェイスブックのグループに所属しており、軍政が進めている公園建設事業について不正や水増しがあったとする画像の共有を行っていた容疑もかけられている。軍政の法務官によると、男性は、グループのメンバーを奮起させるために画像を投稿したと自供しているという。

 君主制の擁護者を自認する軍部が昨年権力を掌握して以来、タイでは不敬罪での訴追が急増している。また、有罪判決件数もここ数か月、記録的な数に上って いる。有罪が言い渡されている人の大半は政権に批判的な人々だが、他にも、不透明な汚職取り締まりで摘発された政府高官らも含まれている。(c)AFP