【12月4日 AFP】太陽系の起源を調べる目的で2014年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2(Hayabusa2)」が3日、地球の重力を利用して、遠く離れた目的地の小惑星に向けて推進するため、地球に最接近した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。

 JAXAが管理するウェブサイトで入手できるシミュレーションデータによると、はやぶさ2は午後7時過ぎ、「地球スイングバイ」を実行して地上3090キロまで最接近、小型小惑星「リュウグウ(Ryugu)」の方向に飛行を続けるために軌道変更したという。

 毎日新聞(Mainichi Shimbun)などの国内メディアの報道によると、JAXAはこれから約1週間かけて、はやぶさ2が正しい軌道に乗っているかどうかを分析する予定という。

 はやぶさ2は、1年前に日本の主力ロケットH2Aに搭載され、鹿児島県の種子島宇宙センター(Tanegashima Space Center)から打ち上げられた。

 おとぎ話に登場する架空の城にちなみ命名された小惑星リュウグウに、はやぶさ2が到達するのは、2018年半ば。その後約1年半にわたってこの小惑星にとどまる見込みだ。

 はやぶさ2は、複数の無人探査車と、表面の観測を行うための装置を搭載した「着陸機」を小惑星に降下させる。

 全てが順調に進めば、はやぶさ2は2020年後半にも、採取した物質を地球に持ち帰る予定となっている。

 地球外物質の分析は、46億年前の太陽系誕生を解明する一助となる上、何が地球上で生命を発生させたかに関する手掛かりをもたらす可能性がある。

 はやぶさ2は、JAXAの初代小惑星探査機「はやぶさ(Hayabusa)」の後継機にあたる。はやぶさは7年間に及ぶ探査ミッションを終えて2010年、塵(ちり)サンプルを採取して地球に帰還した。

 直径約1キロの小惑星リュウグウには、初代はやぶさが探査した、ジャガイモの形をした小惑星イトカワ(Itokawa)よりはるかに大量の有機物と水が含まれていると考えられている。(c)AFP