【11月22日 AFP】フランス・パリ(Paris)で起きた同時襲撃事件に関わった疑いで、モロッコ系ベルギー人のアフマド・ダフマ二(Ahmad Dahmani)容疑者(26)の身柄が拘束された。同容疑者は、シリアへの逃亡を計画していたとされる。トルコ政府当局筋が21日、明らかにした。

 トルコの政府当局者によると、ダフマ二容疑者は、パリでの事件を首謀したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」戦闘員とコンタクトを取っていた疑いが持たれている。

 ダフマ二容疑者はトルコ南部のリゾート都市アンタルヤ(Antalya)で拘束された。同容疑者のシリアへの密入国を補助しようとしたシリア人とみられる他の2人の身柄も拘束されている。

 政府当局者は「治安当局は、ダフマニ容疑者がISIS(ISの別称)戦闘員であり、トルコとシリア国境の違法な越境の準備をしていたと話している。同容疑者は、パリ同時テロの実行犯とコンタクトを取っていたと思われる」と述べたが、具体的な詳細については言及せず、「捜査は続行されている」と語るのみにとどめた。

 トルコの通信社ドーガン(Dogan)は、ダフマニ容疑者はパリにおいて襲撃現場を決定する偵察員の役割を果たしたと伝えているが、政府当局者はこの報道について確認していないという。

 ドーガンが伝えたところによると、同国のテロ対策当局は、アンタルヤの空港に16日に到着し、同市の五つ星高級リゾートホテルにチェックインした直後からダフマニ容疑者を追跡していたという。政府関係者は、ダフマニ容疑者が14日にオランダのアムステルダム(Amsterdam)からアンタルヤの空港に到着したと話している。

 アンタルヤでは先週、G20首脳会議が開催され、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領やウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領をはじめとする世界各国の首脳が参加していた。

 トルコ政府は欧州各国にイスラム過激派に関する情報を共有するよう強く求めてきたが、今回の件をめぐってはベルギー政府の手落ちであると指摘。ダフマニ容疑者の身柄拘束をめぐっては他国からの情報ではなく、自国の情報活動によるものとした。

 トルコ政府のデータよると、同国では2万6600人に上るイスラム過激派の入国を他国から提供の情報に基づいて阻止しているが、ダフマニ容疑者に関する警告は受けていなかった。トルコの政府当局者は、「ベルギー政府が事件後すぐわが国に注意喚起をしていれば、ダフマニ容疑者を空港で拘束することができた」と述べた。(c)AFP/Stuart WILLIAMS