■進化の前提

 研究で、エンジニアであるダビリ氏と生物学者らの研究チームは、クラゲとヤツメウナギの動きを詳細に調べた。

 研究チームは、周囲の液体の動きを見やすくするために、極小のガラス玉を含ませた水のトンネルを泳ぐクラゲとヤツメウナギを詳しく観察した。体の周囲の「流れ場」の記録には、高速デジタル撮像装置とコンピューター制御の圧力測定器を組み合わせて使用した。

 その結果、泳ぐクラゲとヤツメウナギの周囲で力のバランスを制御しているのは、低圧領域であることを研究チームは突き止めた。

 この発見によって、動物進化に関する一部の基本的な前提条件が変わる可能性があると、ダビリ氏は指摘。「動物の運動性をめぐっては、種の適応度、さらには種の生存能力を判定するのに重要であることが知られている」と前置きしながら、「これまでの研究が前提としていたのは、効率的な運動性の実現には高圧の生成が不可欠」ということで、すなわち、それは望ましい進化的適応であるということだったと続けた。

 しかし、今回の研究では、動物が高圧ではなく、低圧の設計へと進化してきた可能性があることが判明している。

 クラゲとヤツメウナギは、泳ぎ動作のエネルギー効率が動物の中で最も高い部類に入る。(c)AFP/Laurence COUSTAL