■「イスラムのシンボルを盗用」

 黒旗の上部には、イスラム教のシャハーダ(信仰告白)の前半に当たる「アラーの他に神はなし」という文言が黒地に白抜きの文字で記されている。

 旗の中央部には、「アラー、ラスル(使徒)、ムハンマド」という3つの単語が黒字で記された預言者ムハンマドの印章が図案化されている。これはシャハーダの後半に当たる文言で、下から上に読んで「ムハンマドはアラーの使徒なり」という意味が成り立つようになっている。

 一説によるとムハンマドは、エチオピアやペルシア、ビザンチウム、バーレーン、エジプトの支配者に送ったイスラム教の受け入れを促す内容の親書にこの印章を押印したといわれるが、その信ぴょう性を疑問視する声もある。

The Jihad of Images(イメージのジハード)」の著者、アジーム・ディフラウィ(Asiem El Difraoui)氏は、「ISは全てのイスラム教徒のものであるシンボルをさらい、盗用することに成功した。ISは途方もなく強力な力でロゴを創り出し、それを徹底的に矮小化したのだ」と説明した。

 シャハーダを図案化したデザインは、サウジアラビアなどの国旗にも使用されているが、黒地の上に記されることはなく、いずれも手の込んだ書体で書かれている。一方、複数の専門家は、ISの旗のシャハーダは故意に殴り書きしたような簡略化された書体で、コンピューターでデザインしたのではなく、古い時代に書かれたものであるかのようにみせる狙いがあると指摘している。