【10月23日 AFP】イリエワニは脅威を察知するために片方の目を開けたまま眠ることができることが分かったと、オーストラリアの科学者らが23日、語った。追加の研究によって、脳の半分だけを眠らせる能力を持っていることが明らかになる可能性が高いという。

 この研究は英科学誌「Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)」に発表された。オーストラリアの研究チームは、3頭の若いイリエワニを個別の水槽に入れ、12か月にわたって観察。結果、ワニも鳥類と同様に外敵の脅威がある環境では「片目だけを閉じて」睡眠していることが分かった。

 論文の筆頭著者、ラトローブ大学(La Trobe University)のマイケル・ケリー(Michael Kelly)氏はAFPに「鳥類も人間のように両目を閉じて睡眠するのを好む。だが脅威を感じると片目を開けておき、その目を脅威の対象の方に向ける」と説明した。

「ワニも同様の行動をしていた。睡眠時のほとんどのときは両目を閉じている。だが脅威の対象を提示すると、ワニは片目を開け、目を脅威の対象の方へ向け続ける」

■脳を全部眠らせるのは少数派か

 ケリー氏は追加研究でワニの脳派を測定し、ワニが脳の半分だけを眠らせているどうかを調べる必要があると語る。その研究で、完全に意識を遮断する人間流の睡眠が、動物界においてはまれであることが判明する可能性がある。

「片目だけを閉じて眠ることが知られているワニなどの爬虫(はちゅう)類が、実際に脳の半分だけを睡眠させていることがわかれば、(片目睡眠が)進化の中で生まれた新しい性質(進化的新奇性)ではなく、むしろ人間流の睡眠のほうがそうであることが示唆されるかもしれない」とケリー氏は見通しを語った。(c)AFP