【9月30日 AFP】アフガニスタン政府軍は29日、前日に旧支配勢力タリバン(Taliban)によって大部分を制圧された北部の要衝クンドゥズ(Kunduz)の奪還作戦を開始し、米軍も空爆で作戦を支援した。

 タリバンは28日、クンドゥズ(Kunduz)州の州都クンドゥズの政府関連施設を掌握した後、刑務所からタリバン司令官らを含む受刑者数百人を脱走させた。タリバン側にとっては、2001年に政権の座を追われて以降最大の勝利となり、同市からは多数の住民が避難した。

 同市陥落は、北大西洋条約機構(NATO)による訓練を受けたアフガニスタンの治安部隊に大きな精神的打撃を与えるとともに、タリバンが地方の拠点だけにとどまらず支配域を拡大し得る能力があることを見せ付けた。

 NATOが出した声明によると、米軍もクンドゥズ州内で空爆を実施。ただ、標的については公表されていない。

 この戦闘による犠牲者数は明らかになっていないが、アフガニスタン保健省は、クンドゥズにある病院にはこれまでに16人の遺体が搬送されており、負傷者は190人以上に上っているとしている。

 奪還作戦の開始後も、同市の大部分は依然タリバンの支配下にあり、戦闘員らが盗んだ警察車両や赤十字(Red Cross)のバンに群がる様子が目撃された。

 またタリバンが公開したある動画では、戦闘員らが治安当局から奪った戦車や装甲車を披露し、「アッラー・アクバル」(アラビア語で「神は偉大なり」の意)と叫んだり、シャリア(Sharia、イスラム法)の徹底を誓ったりしている。

 現場で取材に当たっているAFP記者によると、タリバン戦闘員らは29日夜、近郊にある空港に迫りつつあったが、新たな空爆で一部が押し戻された。

 アフガニスタンの情報機関によると、この空港付近への空爆で、タリバンが同州の「影の知事」に任命していた人物やその補佐官、さらに戦闘員15人が死亡したと発表した。

 アユーブ・サランギ(Ayoub Salangi)内務次官は、治安部隊はクンドゥズ奪還の用意が整っていると述べるとともに、タリバンがいかにして過去14年間で初めて主要都市の中心部を掌握できたのかを調べていくと語った。

 また国防省は、警察本部と刑務所は奪還したとしているが、他に複数ある政府関連施設については、200床ある地元病院を含め引き続きタリバンの支配下に置かれている。(c)AFP/Nasir Waqif