【9月21日 AFP】キューバと米国を歴訪しているローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は20日、キューバの首都ハバナ(Havana)の革命広場(Revolution Square)で数十万人が参加した野外ミサを行った後、フィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長(89)の自宅を訪れ前議長と会談した。 

 バチカンのフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長によると、フランシスコ法王はカストロ前議長や家族と30~40分間ほど談笑した。話題は環境問題など多岐にわたり、「友好的で非常に打ち解けた」雰囲気だったという。

 法王はカストロ前議長に4冊の書物を贈呈。このうち2冊は神学に関する本だった。カストロ前議長も、自身とブラジルのフレイ・ベット(Frei Betto)司祭とのインタビュー本「Fidel and Religion(フィデルと宗教)」に「キューバ国民より称賛と尊敬をこめて」と署名して法王に贈った。

 カストロ前議長の共産主義体制下のキューバとローマ・カトリック教会は数十年にわたって対立してきたが、その関係は1980年ごろから徐々に改善していき、1998年には故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)が歴史的なキューバ訪問を遂げた。

 フランシスコ法王のキューバ訪問に先立ち、米国はキューバへの渡航や商取引の制限緩和を発表しているが、これについてハバナ大司教のハイメ・オルテガ枢機卿(Cardinal Jaime Ortega)は法王の訪問が触発したものとの見方を示した。

 フランシスコ法王は、冷戦時代(Cold War)に敵対関係にあったキューバと米国の国交回復を後押ししている。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE