【9月19日 AFP】第2次世界大戦(World War II)後初めて、自衛隊が海外で戦闘を行うことを可能にする安全保障関連法が19日未明に成立したことを受け、反対派は新法制が日本の歴史に残る「汚点」となったとして批判を繰り広げた。

 国会では連日複雑な議論が交わされ、時には議場での小競り合いにまで発展した末に、同法は参院本会議で、安倍晋三(Shinzo Abe)首相率いる連立与党などの賛成多数で可決、成立した。

 採決後に安倍首相は、安保法制は「国民の命と平和を守り抜くために必要」で「戦争を未然に防ぐもの」だと述べた。

 一方、国会周辺では19日、同法に強く反対する約300人が、新法制の廃止を要求し、安倍政権との戦いを決して止めないと気勢を上げた。

 また法学者らも、安全保障関連法が平和主義を掲げる憲法に違反すると主張するとともに、複数の団体が違憲訴訟の準備を進めていることを明らかにしている。

 約3万6000人の弁護士が所属する日本弁護士連合会(Japan Federation of Bar Associations)の村越進(Susumu Murakoshi)会長は、国民の意思に反して同法成立を進めた政府を批判し、同法の廃止を目指すと表明。同会長は声明で、同法は「立憲民主主義国家としてのわが国の歴史に大きな汚点を残した」と述べた。

 さらに、NHKの報道によると、慶應大学(Keio University)の小林節(Setsu Kobayashi)名誉教授は、東京地方裁判所に違憲訴訟を起こすべく、1000人規模の弁護団の結成準備をすでに進めているという。

 ただ、新法制の下でも、自衛隊の派遣には厳格な基準に基づく国会の承認が必要な上、戦力も必要最小限でなければならないなど、他国よりも厳しい制約が課される。

 新法制について、政府は自衛隊による米軍支援を可能にするものだとする一方で、その他の国との連携について固く口を閉ざしているが、近年軍事協力を緊密化させているオーストラリアが対象だとみる向きもある。