【9月7日 AFP】クルド人が多数派を占めるトルコ南東部で6日、取材中のオランダ人女性ジャーナリストがトルコ当局に身柄を拘束された。この地域では、トルコ政府軍が徹底したクルド人武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」の掃討作戦を展開している。

 拘束されたのは、トルコ南東部ハッカリ(Hakkari)県を拠点に取材活動を続けているフレデリケ・ヘールディンク(Frederike Geerdink)記者。本人が蘭テレビ局オランダ放送協会(NOS)に語ったところによると、対PKK掃討作戦の対象地域の一つで「人間の鎖」を作っていた活動家32人の取材中に拘束されたという。同記者がトルコ当局に拘束されるのは、今年2回目。

 ヘールディンク記者は、取材相手の活動家たちについて「友人ではなく情報提供者」だと述べた。この活動家らも全員、逮捕されたという。 

 トルコ当局は、立ち入り禁止区域にヘールディンク記者が入ったため拘束したと説明している。一方、ヘールディンク記者は立ち入り禁止区域に踏み込んだ認識はなかったと主張。「立ち入り禁止を示す標識など、どこにもなかった」と話している。

 ヘールディンク記者は今年1月にも一時身柄を拘束され、PKKのため「テロリストのプロパガンダを流布」した罪で訴追されたが、4月に無罪となっている。

 トルコでは政府がPKKを対象とした「対テロ」作戦を強行するなか、政府に批判的なメディアへの締め付けが厳しくなり、報道の自由に対する懸念が強まっている。8月にはやはりクルド人が多数を占める南東部ディヤルバクル(Diyarbakir)で、米国に本社を置くニュースサイト、バイス・ニュース(Vice News)の英国人記者2人が取材中に身柄を拘束され、テロ容疑で1週間勾留されている。(c)AFP