【8月13日 AFP】陸上競技の偉大な名選手の一人として知られるセバスチャン・コー(Sebastian Coe)氏は12日、薬物問題で2度の出場停止処分を受けたジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)が、第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男子100メートルで優勝すれば、金メダルを授与する準備はできていると語った。

 国際陸上競技連盟(IAAF)の会長選出馬を表明しているコー氏は先日、薬物問題に十分に取り組んでいないとして、IAAFの上層部に対して「宣戦布告」している。

 現在IAAFの副会長を務めるコー氏は、個人的には薬物違反を犯した選手の競技からの追放を支持しているとしながらも、ガトリンが23日に開幕する世界陸上で優勝した場合、金メダルを与えないという選択肢を取ることは困難だとしている。

 もしガトリンが世界陸上でウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)を破るようなことになれば、陸上界には激震が走る恐れがある。ドーピング疑惑に一度も巻き込まれたことがないボルトは、近年で最も偉大なアスリートであることに議論の余地はなく、世界一の人気を誇っている。

 2008年に行われた北京五輪の男子100メートルと200メートルに出場し、当時の世界記録で優勝したボルトは、2011年に行われた第13回世界陸上大邱大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)の100メートルではフライングで失格処分を受け、主要国際大会での4連覇を逃している。

 1980年と1984年の男子1500メートルで金メダルを獲得したコー氏は、ラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)会長の後任を決める19日の会長選で、棒高跳びの伝説セルゲイ・ブブカ(Sergei Bubka)氏と競っている。

 英ロンドン(London)で電話取材を受けたコー氏は、「これまで一貫して追放を支持してきた。私はすべてのスポーツにおいて練習こそが出発点だと理解している」と語った。

「ジャスティン・ガトリンには出場資格がある。薬物問題で処分を受けた選手が主要大会に出場することは好ましくないのではないかと問われれば、私の答えはイエスだ」

「だが彼に出場資格があるのであれば、(優勝した場合)金メダルが与えられて当然だ」

c)AFP/Julian GUYER