【7月24日 AFP】2018年サッカーW杯(2018 World Cup)の開催国であるロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は23日、政府としてリーグにまん延する人種差別対策を強化することを約束した。

 ロシアではかねて試合中に人種差別的発言が繰り返されてきたが、この問題に目を閉ざす政府に対する批判が相次いでいた。

 ロシアの国営タス通信(TASS)は、ムトコ大臣が、「サッカーにおける人種差別はロシアだけの問題ではない」と語ったと報じている。

「われわれはこれに対する取り組みを強化する。すでにそういった行為に対する制裁を強めてきた」

「また、試合中の人種差別行為の発見に特化した監視役という特別なポジションを作るつもりだ。違反した者は罰せられずに済むことはないだろう」

 前週に行われた試合でガーナ人選手のエマヌエル・フリンポン(Emmanuel Frimpong)は、試合中に受けた人種差別行為を協会が無視したとして批判し、ロシアでは人種差別問題が大きく取り上げられ、ムトコ大臣の今回のコメントにつながった。

 かつてアーセナル(Arsenal)に在籍し、現在はロシア・プレミアリーグのFCウファ(FC Ufa)に所属する23歳のフリンポンは、スパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)との開幕戦で人種差別発言をした観客に不適切なジェスチャーを行い、わずか30分で退場処分を受けている。

 フリンポンは、自身が人種差別的なやじ(モンキーチャント、猿の鳴きまね)の標的になったと主張したが、協会はフリンポンの主張を裏付ける証拠はないとして、スパルタク・モスクワに処分を科さず、フリンポンには不適切な行為で2試合の出場停止処分を言い渡している。

 フリンポンはツイッター(Twitter)で、「協会は人種差別のいかなる証拠も見聞きしなかったとしているが、冗談を超えている」

「僕たちはクレイジーな世界に生きている。全てのロシア人の振る舞いがこうではないことは強調しなければならない」

「僕としては、自分のジェスチャーで2試合の出場停止を受けたことは受け入れられる。そのことが問題ではないんだ」

 ロシアでは、昨季もディナモ・モスクワ(Dynamo Moscow)に所属するコンゴ共和国出身のクリストファー・サンバ(Christopher Samba)が同様事例により2試合出場停止の処分を受けている。

 また、FCゼニト(FC Zenit)に所属するブラジル代表FWのフッキ(Hulk)も、試合で人種差別のターゲットとなることに対して繰り返し不満を訴えている。(c)AFP