■高層ビル、今後も建設続く?

 インドの建設大手RJ Corpの系列で、カトマンズを拠点とするバルン・ディベロッパーズ(Varun Developers)によれば、同社が建設したパーク・ビューは必ずしも解体する必要はなく、再び住めるようにすることは可能だという。「少なくとも半年はかかるだろうが、可能だ。基礎は大丈夫だが、さらに強化している」と、同社のネパール代表、アミット・グプタ(Amit Gupta)氏は言う。

 3階と4階に部屋を持っているブダトキさんは、妻と子ども2人と一緒にパーク・ビューに戻る見通しについて、冷静だ。「戻るか?様子をみるよ」

 当局は、地震のために高層ビルの建設をやめる理由はないとしている。「ここでも高層ビルは建てられる」と話すタパ氏は、「私たちは、地震による被害を最小限に抑えるために建築基準を見直しているところだ」と説明する。

■パーク・ビューの運命は

 しかし専門家たちは、あの大地震は、地震の歴史のある街に高層ビルを建てる危険性について警鐘を鳴らすものだと指摘する。

「カトマンズでは地震波にどう反応するかを調べる大規模な地質調査が行われたことがない」と、トリブバン大学(Tribhuvan University)のディーパク・チャムラゲイン(Deepak Chamlagain)教授(地質学)は言う。「なかには、インドの建築基準で造られた高層ビルもある。だがカトマンズの地質は、インドのそれとは大きく異なっており、粘土層が地震波を増幅させる可能性がある」

 パーク・ビュー・ホライゾンの運命はまだ分からないが、近隣からは解体を望む声も上がっている。

 プレム・バハドゥル・ラマさんが経営するホテルは地震が起きた当日、満室だったが、パーク・ビューがホテルの上に倒れてくることを恐れて、ホテルを閉鎖せざるを得なかった。彼は今、近くの空き地にテントを張って寝ている。

「危険だと思い、建設当時から反対していた近隣住民もいる」と、ラマさんは言う。「私たちは解体を望んでいるが、ネパールにその技術があるかは分からない」(c)AFP/Etienne FONTAINE