■予防に懸ける政府

 スイスのNGO、サンティネルの協力で、ムルジャさんはまもなく同国ジュネーブ(Geneva)へ渡り、鼻と口の再建手術を受ける。しかし、同じく目など顔の左半分が壊死したセイミ君もスイスで皮膚と筋肉組織の移植手術を受けたが、外見が大きく損なわれた状態は変わらない。片方の目は完全に失われてしまった。

 ジュネーブ大学病院(Geneva University Hospitals)のブリジット・ピッテ(Brigitte Pittet)外科教授は「私たちがやっていることはほとんど奇跡だが、完璧にはほど遠い」と話した。

 しかも手術の費用は極めて高い。そこでニジェール政府は、壊疽性口内炎の予防に関する知識を広める活動と抗生物質に期待をかける。疾患対策当局のハマドゥ氏は「母親たちにショックを与えるような恐ろしい写真を見せて」、子どもが感染した場合には一刻も早く手当てを受けるよう呼び掛けていると話した。「十分早い段階で壊疽性口内炎を発見できれば、結果は非常に向上する」

(c)AFP/Joris FIORITI