【6月25日 AFP】(一部更新)パキスタンを襲った厳しい熱波による死者が25日、1000人を超えたことが分かった。死者はさらに増える恐れがある。

 もっとも被害が深刻な同国の最大都市カラチ(Karachi)では、ここ2日間は曇り空が広がり気温が低下したことから、ある程度の安堵(あんど)も広がっている。だが、先週末に最高気温45度前後の猛暑に見舞われて以降、同市では熱中症や脱水症で数万人単位の人々が治療を受け、遺体安置所や埋葬業者は次々と運ばれてくる犠牲者の遺体への対応に追われている。

 パキスタン最大の福祉慈善団体で緊急医療を提供するエディー財団(Edhi Foundation)の広報担当者、アンワル・カズミ(Anwar Kazmi)氏は「死者は1000人以上で、1500人まで増える恐れもある」とAFPに語った。

 AFPがカラチ周辺の病院から集計した熱波による死者数は、1079人に上っている。また、医療関係者によると、カラチ各地の病院では、これまでに熱中症や脱水症で計8万人近くが治療を受けたという。

■ラマダンに重なった熱波、熱中症の理解不足も

 45度を超える気温はパキスタンの内陸部では珍しくないが、沿岸部に位置するカラチは例年、今年ほど暑くはならない。さらに今年の熱波は、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」の開始と重なった。

 パキスタンの法律では、ラマダンの日中に公共の場所で飲食をすることは違法とされている。カラチの死者の大半は、高齢者や貧しい人々、外で働く肉体労働者らだった。これを受け、イスラム聖職者らは、熱中症の恐れがある人は断食を行わないよう呼びかけている。

 一方、カラチの医師は、症状や対策など熱中症の理解が国民に不足していることが、死者数増加の一因となっていると指摘している。(c)AFP