【6月12日 AFP】フランス捜査当局は11日、今年3月にドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)の旅客機を故意に仏アルプス(Alps)の山中に墜落させたとみられるアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士が、墜落までの過去5年間に41人の医師の診察を受けていたことを明らかにした。その上で、この過失致死罪の責任を負うべき人物がいないかどうかを見極めるため捜査を拡大する方針を発表した。

 フランスのブリス・ロバン(Brice Robin)検事はパリ(Paris)で墜落機の乗客乗員の遺族約200人と面会した後、ルビッツ副操縦士が、墜落までの1か月間の7人を含め、過去5年間に41人の医師の診察を受けていたことを明かした。

 ロバン検事は、精神病を患っていたルビッツ副操縦士は失明を恐れて一般医、精神科医、耳鼻科医などを含む41人の医師の診察を受けていたと述べた。

 このうち、ドイツの捜査当局が事情聴取した医師の数人は、同副操縦士は通常の3割ほどしか見えず、視野に閃光(せんこう)が走り、ほとんど眠れないほど重度の不安に悩まされていると訴えていたとしている。

 ルビッツ副操縦士は、「失明したら生きる意味がない」と語っていたという情報もある。

■親会社の責任は?

 遺族支援団体のステファヌ・ジケル(Stephane Gicquel)代表は、捜査拡大の「狙い」は、ルビッツ副操縦士の精神状態の把握という面で過失がなかったかを確認することにあるという見方を示した。

 ジケル氏は、「過失致死罪をめぐる疑問に切り込むため取り調べを行っていくという同検事の意向がはっきりと分かる。ルビッツ副操縦士の健康状態を把握しておくという点で(親会社である)ルフトハンザ航空(Lufthansa)の過失や怠慢についても調べていくことは非常にはっきりしている」と述べた。(c)AFP/Marie GIFFARD and Pauline TALAGRAND