【5月29日 AFP】男子テニスの錦織圭(Kei Nishikori)は、やらなければやられるという米国特有の環境に身を置かなければ、今日の成功はなかっただろうと考えている。

 2003年に親元を離れ、単身渡米した錦織は当時、英語をまともに話すことすらできなかった。

 約10年後、錦織は全米オープン(The US Open Tennis Championships 2014)で準優勝を飾り、決勝ではマリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)に敗れたものの、準決勝でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を破る快進撃を見せた。

 日本人選手として、男子シングルスの最高位に達した錦織は、米フロリダ(Florida)での生活が自分を変えてくれたと話している。

 全仏オープンテニス(French Open 2015)2回戦を終えた錦織は、「米国での暮らしを通して、本当に強くなりました。小さいころは、精神的にもあまり強くなかったし、戦うタイプではなかった」と明かした。

「米国に移住したら、どうにかして強くならなければいけなかった。いろんな国から多くの子どもが来て、大きな選手と対戦しなければならないときもあった。幼いころは特に小さかったので」

「多くの大会に出場し、経験を積むことで、自信がつくし、精神的にも強くなる」

 錦織は、2013年の全仏オープン(French Open 2013)で16強入りを果たし、1938年の中野文照(Fumiteru Nakano)氏以来、男子日本勢では75年ぶりとなる4回戦進出を成し遂げた。

 今大会では、ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)と共に注目を集めている錦織。クレーでも、昨年のマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2014)で決勝に進出したほか、バルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2015)では2連覇を達成している。

 錦織は、「今年は落ち着いていて、自信もあります。体の状態も良いです」としており、1967年以来、約半世紀ぶりに日本人5選手が男子シングルスの本戦に出場したことについても、「日本人でいることが誇り。僕がアジアのナンバーワン選手になったことで、日本で多くの子どもがテニスを始めています」と話した。(c)AFP/Dave JAMES