■漢民族のための治安維持

 新疆ウイグル自治区では、漢民族とウイグル人はほぼ別々の地域に暮らしている。ウイグル人が大半を占める市場では、移住してくる人々の増加による物価上昇を批判する声が聞かれた。「政府の資金は潤沢だが、われわれに割り当てられている助成金は役人が横取りしてしまう。でも、どうすることもできない。ウイグル人には発言権も、権力もない」

 AFPはホータンに住む漢民族24人を取材したが、ウイグル語を話す人はほとんどいなかった。

「政策によってホータンなどの地方都市に漢民族を移住させることはできても、彼らが融合するとは限らない」とリーボールド氏は言う。「彼ら(漢民族)は民族別に住み分けされたコミュニティーで、人民解放軍(People's Armed Police)に守られて暮らす。真に団結した社会をつくるためには、何よりもまず信頼が必要だ。そして、異なる民族間での信頼は、圧倒的に不足している」

 人口30万人以上のホータンの市街地は、夜にはゴーストタウンと化す。漢民族は日没後は外出したがらず、市中央の広場で開かれるダンスイベントは武装警察によって警備されている。随所に警察官の姿が目に付く中、ウイグル人の多くも夜間の外出を控える。身分証のチェックや職務質問などでハラスメントを受けるからだ。

「警察、検問所、銃。全て、漢民族を安心させるためのものだ」と、匿名で取材に応じたウイグル人男性は語った。(c)AFP/Benjamin HAAS