【5月25日 AFP】南仏カンヌ(Cannes)で開催された第68回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で24日、コンペティション部門の各賞が発表された。今年の同部門審査員長を務めたのは、米国のジョエル・コーエン(Joel Coen)監督とイーサン・コーエン(Ethan Coen)監督だ。

-最高賞パルムドール(Palme d'Or):『ディーパン(原題Dheepan)』

 フランスのジャック・オディアール(Jacques Audiard)監督の作品。戦下のスリランカからフランスへと逃れてきた、心に傷を負った元反体制派兵士ら難民たちの窮状がシリアスなタッチで描かれた。

-グランプリ(第2位に相当):『サウルの息子(Son of Saul)』

 ハンガリーのラースロー・ネメシュ(Laszlo Nemes)監督(38)が初めて手掛けた長編作品。ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所の描写やユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を別の角度から描いた点が高く評価された。

-審査員賞(第3位に相当):『ロブスター(The Lobster)』

 ギリシャのヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)監督の作品。コリン・ファレル(Colin Farrell)が主人公を演じた本作品では、期限までにパートナーを見つけることができなければ動物の姿に変えられてしまうという奇想天外なストーリーが展開する。

-男優賞:バンサン・ランドン(Vincent Lindon、フランス)

 ぶっきらぼうだが才能あふれる俳優として知られるランドン。出演作『LA LOI DU MARCHEThe Measure of a Man)』では、工場から解雇され、必死に職探しをする労働者を演じた。

-女優賞:ルーニー・マーラ(Rooney Mara、米国)、エマニュエル・ベルコ(Emmanuelle Bercot、フランス)

 女性同士の恋愛を描いた『Carol』でケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)と共演したマーラと、『Mon Roi』で不誠実だが魅力的な恋人とのどろどろした関係を振り返る女性を演じたベルコがそれぞれ受賞した。

-監督賞:『黒衣の刺客(The Assassin)』の侯孝賢(Hou Hsiao Hsien、ホウ・シャオシェン)監督

 同監督はいわゆる「台湾ニューシネマ」の中心的存在。9世紀の中国が舞台の本作品では、故郷の恋人で地元指導者でもある人物の殺害を命じられた女性暗殺者を中心にストーリーが展開する。暗殺者を演じたのは、アジアの大スター、スー・チー(Shu Qi)。

-脚本賞:ミシェル・フランコ(Michel Franco)監督の『Chronic

 メキシコ人脚本家で監督のフランコ氏が手掛けた同作品では、末期患者たちに寄り添ながら、自殺ほう助という道徳上難しい選択に迫られる看護師の姿が描写されている。看護師を演じたのはティム・ロス(Tim Roth)。(c)AFP