【5月22日 AFP】クジラの好物で、地球の酸素の大半を供給しているプランクトンに莫大な多様性が存在することを発見したとの研究結果が21日、発表された。

 微小な植物、ウイルス、魚の幼生などを含むプランクトンは、水界の食物連鎖の土台を担う上、植物性のものでは光合成によって生成される酸素の半分を供給する重要な存在となっている。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された、「タラ・オーシャンズ(Tara Oceans)」プロジェクトとして知られる長期の海洋調査航海の成果をまとめた5件の論文によると、プランクトンは、科学者らがこれまで考えていたよりはるかに複雑であることが判明したという。

 国際科学者チームは2009~2013年、世界の海洋の主要海域すべて調査航海を行い、プランクトンのサンプル3万5000個を採集した。

 仏国立遺伝子解析センター「ジェノスコープ(Genoscope)」の研究者、パトリック・ウィンカー(Patrick Wincker)氏は「これは、海洋科学における過去最大級のDNAの解読となった。この分析で約4000万個の遺伝子が解明されたが、その大半は科学にとって未知のものだった。研究結果は、プランクトンにはこれまで知られていたよりはるかに広大な生物多様性が存在することを示唆している」と語っている。

 今回の成果をめぐっては、海洋微生物の遺伝子を参照するためのカタログ「Ocean Microbial Reference Gene Catalog」が新たに作成され、関心のある科学者らはいつでも利用できる。

 調査では、海洋の深さ、水温、塩分濃度や、海水中に生息する微小生命体の間の相互作用などに関する情報も収集された。

 ウイルスに関しては、世界の海洋の上層部全体で5000種を超える個体群が特定された。米アリゾナ大学(University of Arizona)の研究者、ジェニファー・ブルム(Jennifer Brum)氏は、「海洋ウイルスの研究は、これまで数十年にわたって行われてきたが、この5000種のウイルス個体群のうち、既知のウイルスに似たものはたった39種しかなかった」と指摘している。(c)AFP