ラフマニさんは、同国南部の戦闘地域から負傷兵を航空機で搬送する任務を上官に止められたが、その命令を無視して任務を行った経験についても語った。アフガニスタンでは伝統的に、女性は死者や負傷者を運ぶことを禁止されている。ラフマニさんによると「人々の多くは、女性は気が小さく、感情的になりやすいと思っているから」だという。

 任務終了後、ラフマニさんが上官に「もし私が間違ったことをしたとお考えでしたら、どうぞ懲戒処分にしてください」と言うと、上官は笑顔を見せて「よくやった」と言ったという。

 男性の同僚と同じ扱いを受けるためには、神経が高ぶった様子を周囲に見せるわけにはいかなかった。ラフマニさんは「感情を見せずに、タフに振る舞うしかありませんでした」と当時を振り返った

 その一方でラフマニさんは厳しい性差別が残るアフガニスタンの文化的慣習をないがしろにしないよう注意を払っているという。

 最近ではある朝、男性の同僚がラフマニさんに握手を求めてきたがラフマニさんはそれを断った。がっかりした同僚が「なぜだ?」と尋ねると、ラフマニさんはただ礼儀正しくほほ笑んだ。ラフマニさんはその後AFPに対し、間違ったシグナルを送るのを避けたかったのだと話した。保守的なアフガニスタンでは、男女間の握手というシンプルな行為さえ、好ましくない性格の現れと受け取られることがあるという。

 2001年に米軍などがアフガニスタンに侵攻して以来、アフガニスタンでパイロット養成訓練を受けた女性はラフマニさんを含めて3人しかいない。そのうちの1人は既に空軍を辞めている。

 いつになればアフガニスタン空軍で男女同数のパイロットが活躍するようになるか尋ねると、ラフマニさんは正直にこう答えた。「近い将来ではないと思います。20年、あるいは30年はかかるかしら。でも私は希望を持っています」

(c)AFP/Anuj CHOPRA