【4月1日 Relaxnews】航空券の低価格化や経済力を強める新興国の台頭によってマスツーリズムの促進に拍車がかかるなか、世界各地の美術館や博物館はこれまでの来館者サービスの見直しを迫られている。

 世界の主な美術館の年間来館者数は仏パリ(Paris)のルーブル美術館(Louvre Museum)が約1000万人、英ロンドン(London)の大英博物館(British Museum)が700万人、米ニューヨーク(New York)のメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)が600万人などとなっている。

 来館者サービスの改善策として、例えばルーブルは2016年半ばをめどに入館からチケット売り場やクロークへと進む来館者の動線改善を目指す「ピラミッドプロジェクト」を開始した。ほかに営業時間を延長する方法もある。 2013年以降、ニューヨーク近代美術館(Museum of Modern Art in New YorkMoMA)とメトロポリタン美術館は年中無休だ。

 グローバル化に伴い美術館などで外国人が増加。来館者のうち外国人が占める割合はルーブルが70%、ベルサイユ宮殿(Chateau de Versailles)では80%にのぼる。なかでも中国人客の増加がめざましい。

 家族連れや団体客、海外からの観光客の多くは、ひとたび館内に入るとルーブル美術館なら「モナリザ(Mona Lisa)」や「ミロのビーナス(Venus de Milo)」といった有名な美術作品に直行しがちだ。またある調査によれば、美術館や博物館を訪れる頻度は特に有名なところを年1回程度という人が大多数だという。

■若い来館者が増加

 その一方で、来館者の平均年齢は大きく若年化している。仏パリのオルセー美術館(Orsay Museum)では来館者の3割が26歳以下、ルーブル美術館では半数が30歳未満だ。こうした低年齢化によって思わぬ成功がみられた例もある。

 オルセー美術館では、それほど著名ではない仏人画家ジャンレオン・ジェローム(Jean-Leon Gerome)の作品展に若者が殺到。ジェロームの作品はビデオゲームの雄大な画面を想起させるのだという。

 若い来館者たちに対応するために、どのような変革が美術館側に求められるのだろうか。「こうした人たちは何も知らないという認識にたって始めなければならない」と、ルーブル美術館のジャンリュック・マルティネス(Jean-Luc Martinez)館長はいう。

 来館者が入館前にスマートフォンやタブレットで展示作品情報を見られるサービスを始めた美術館や博物館も増えている。また来館者の3人に2人がスマートフォンユーザーというポンピドー・センター(Pompidou Centre)は、館内で作品を鑑賞しながらクイズ形式の説明をスマートフォンで楽しめるアプリケーションの導入を予定している。

 本物同様、各美術館や博物館のウェブサイトにも多くの人が訪れている。昨年、ロンドンのナショナル・ギャラリー(National Gallery)には600万人が来館。一方、米メトロポリタン美術館のウェブサイトにも2600万を超えるアクセスがあった。

 マルチネス館長によれば、とどのつまり美術館の使命とは「できるだけ多くの人たちに所蔵作品を見てもらうこと」なのだ。(c)Relaxnews/AFPBB News