【3月11日 AFP】ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」が過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に忠誠を誓ったことについて、専門家らは、短期的には単なるプロパガンダ(宣伝)効果を狙った行為であるものの、将来的にはそれ以上のものになる可能性があるとみている。

 今月7日に公開した音声メッセージでボコ・ハラム指導者のアブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者が行ったISへの忠誠の誓いは、しばらく前から準備されていたものだ。

 ボコ・ハラムは先週、男性2人を斬首する動画を公開。斬首という殺害方法に加え、動画の凝った作りは、不気味なほどISの手法と酷似していた。専門家らは、これが両組織の関係強化の前触れではないかと懸念している。

 米シンクタンク「アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)」のアフリカ担当ディレクター、ピーター・ファム(Peter Pham)氏は「少なくともここ9か月にかけて進められてきたことだ。両組織は今これを必要としている。双方とも、戦闘において後退を喫しているため、士気を高め注目を集めるプロパガンダ作戦が必要なのだ」と分析する。

 昨年、イラクとシリアにまたがる地域を次々と支配下に収めたISは、米国やイランの支援を得た現地の軍や武装勢力に、その主要領域の拡大を阻まれている。ファム氏は「ISIS(ISの別称)にとっては、自分たちが拡大を続けていることを示し、無敵であることを演出するための機会だ。そのために必要なのは、小さなカメラ1台とインターネットだけだ」と指摘している。

「存続し、拡大する」をスローガンに掲げるISにとって、支配領域の拡大は自らの世界観を構成する重要な要素となっている。米シンクタンク「中東フォーラム(Middle East Forum)」のアイマン・タミミ(Aymenn al-Tamimi)研究員は、「シリアとイラクではここ数か月間、(ISの)『拡大』がほとんど、または全くない。もしボコ・ハラムのこれまでの奇行が抑えられるならば、IS側の主な利点はプロパガンダ効果となる。ボコ・ハラムから見れば、資金援助と人員の流入が利点となる」と語る。