【3月8日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は7日、黒人市民らが50年前に抗議の行進を行ったアラバマ(Alabama)州セルマ(Selma)を訪れ、公民権闘争の精神をたたえ、若い世代の国民と共に行進した。

 選挙権を求める黒人の市民らが平穏に行っていた抗議の行進を白人警官らが弾圧した1965年3月7日の「セルマ大行進」からちょうど50年を迎えたこの日、米国初の黒人大統領であるオバマ氏は、自由のための行進は「まだ終わっていない」と力強く演説した。

 集まった約4万人を前にオバマ氏は、50年前にアラバマ州の警察官らが行進の参加者への攻撃を始めたまさにその場所で、「われわれは今日、彼らをたたえるため、ここに集まった」と述べた。この町は現在も主に黒人が暮らしている経済的に立ち遅れた町で、普段の人口は2万人にも満たない。

 さらにオバマ氏は、黒人の公民権を訴えて行進した世代の活動家らが自身の大統領就任への道を開いたとして、当時の活動家らとその犠牲に深い敬意を表した。

 大行進に参加した黒人らが攻撃される光景は、米国民に大きな衝撃を与えた。警察の暴力的な取り締まりなどがきっかけとなり、当時のリンドン・ジョンソン(Lyndon Johnson)大統領は、人種差別的な当局者がアフリカ系米国人の投票を妨げることを禁じた投票権法(Voting Rights Act)を成立させた。

 オバマ大統領は、有権者登録の規則を厳格化して有権者の人数に制約を加えようとしている各州政府の動きが投票権法を脅かしていると述べた。(c)AFP/Jérôme CARTILLIER, Andrew BEATTY