■「宿題をするのはバカンスのよう」

 ドネツク西部のペトロフスキー(Petrovsky)地区に住む11歳のアーニャさんと3歳のオレーシャちゃんの姉妹が地下壕の外に出ることはめったにない。戦闘の前線から約2キロしか離れていないこの地区にはよく砲弾が落ちてくる。

「ドアの外に出るくらいで、それより遠くには行きません」。赤いジャケットを着たアーニャさんはそう話す。3メートル程先にある倒れた送電鉄塔が、どれほど近くにまで危険が迫ったか物語っている。

「夜中に近くで爆発があると、びっくりして起きちゃうんです」とアーニャさんは言う。しかし姉妹の祖母は、子どもたちは戦闘に慣れて、もう泣くことはなくなったと話した。

 地下壕での生活が続く中で、アーニャさんは教師が電話で勉強を教えてくれる水曜日が最も楽しみだと言う。「どの科目も好きですけど、一番好きなのは数学です」とアーニャさんは恥ずかしそうに話した。

 今やドネツクの学校では、たまに授業ができればいいほうだ。学校は戦闘が下火になった昨年10月に再開されたが、最近また戦闘が激しくなるにつれて再び休校する学校が増えてきた。「宿題をやるのはまるでバカンスのようですよ」とアーニャさんの祖母は言う。

 砲弾が落ちる中、4歳の男の子のミーシャちゃんは手に持った小さなゲーム機のカーレースゲームに夢中だ。母親のナタリア・スニジュコフスカヤさんは「ここでは食べて寝ることを繰り返す以外に何もすることがないんです」と話した。(c)AFP/Simon VALMARY