【2月12日 AFP】米ノースカロライナ(North Carolina)州チャペルヒル(Chapel Hill)で10日、イスラム教徒の学生3人が射殺される事件が発生し、直後に警察に自首した男が逮捕された。地元警察は、事件がヘイトクライム(憎悪犯罪)に相当する可能性について捜査していると発表。事件を受け、世界各国のイスラム教徒から怒りの声が上がっている。

 殺害されたのは、デア・シャディ・バラカト(Deah Shaddy Barakat)さん(23)と妻のユーソル・モハマド(Yusor Mohammad)さん(21)、ユーソルさんの妹のラザン・モハマド・アブサルハ(Razan Mohammad Abu-Salha)さん(19)。逮捕されたクレイグ・ステファン・ヒックス(Craig Stephen Hicks)容疑者(46)は、3件の第1級殺人罪で訴追された。

 警察によると、容疑者と被害者らの間には駐車場をめぐる対立があり、これが事件の発端となった可能性が初動捜査の結果、明らかになっている。しかし、イスラム教徒に対する憎悪が引き金になった可能性も排除はしていないという。

 殺害された姉妹の父親で精神科医のモハマド・アブサルハ(Mohammad Abu-Salha)さんは、容疑者が「これまでにも何度か娘夫婦に言いがかりをつけていた。ベルトに拳銃をさした状態で娘らと話していた」と語り、駐車スペースに関する問題ではなく「憎悪犯罪」として捜査すべきだと訴えている。

 一方、世界各地のイスラム教徒の間では、米国メディアが被害者の宗教を理由にこの事件を大きく報じていないと批判する動きが、ツイッター(Twitter)などで広がった。だが事件は11日早朝までに全米のネットワークで伝えられるようになり、主要紙のウェブサイトにも事件の詳細について報じる記事が掲載された。

 容疑者のものとみられるフェイスブック(Facebook)のページには反宗教的なコメントが多数書き込まれている。うち1件の書き込みでは、自身を「宗教に対する誠実な異議」を唱える「反有神論者」と呼んでいる他、キリスト教、モルモン教、イスラム教を非難する投稿もあった。(c)AFP/Jenny VAUGHAN