【2月11日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は10日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が拘束していた米国人女性、カイラ・ジーン・ミューラー(Kayla Jean Mueller)さん(26)の死亡を確認したと発表した。その上でオバマ大統領は、ミューラーさんを拘束した者らを必ず捕まえると誓った。

 オバマ大統領は声明で、「どれだけ時間が掛かっても、米国はカイラを拘束し死に至らしめたテロリストらを見つけ出して法の裁きを受けさせる」と述べた。

 ミューラーさんは米アリゾナ(Arizona)州出身の援助活動家。2013年8月にシリア・アレッポ(Aleppo)で拘束された。

 イスラム国は前週、「首都」と称しているシリア北部のラッカ(Raqa)でヨルダンが行った空爆によりミューラーさんが死亡したと主張していた。

 その訴えは当初懐疑的に受け止められていたが、イスラム国は週末ミューラーさんの両親に対し「追加情報」を含む「個人的なメッセージ」を送りつけ、それを基に情報機関がミューラーさんの死亡を断定したと、ホワイトハウス(White House)とミューラーさんの家族が明らかにした。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、遺族が受け取ったのはミューラーさんの遺体の写真だったと報じている。

 イスラム国に拘束されていていた米国人としては、AFPにも記事を提供していた記者のジェームズ・フォーリー(James Foley)氏と、イスラエル系のジャーナリスト、スティーブン・ソトロフ(Steven Sotloff)氏、援助活動家のピーター・カッシグ(Peter Kassig)氏が殺害されて以降、ミューラーさんが最後の人質になったとみられていた。

 ミューラーさんの両親、カール(Carl Mueller)さんとマーシャ(Marsha Mueller)さんは同日、娘の死を突きつけられた心痛を語ったが、同時にミューラーさん本人と、ミューラーさんが行った人道支援を誇りに思っていると述べた。

 オバマ大統領も、ミューラーさんが米国内や中東などで行った人道的活動をたたえた。「カイラは地元だけでなく世界中で苦境に置かれた人々を助けることに自分の命をささげた。アリゾナ州プレスコット(Prescott)では、女性向けのシェルターでボランティア活動をしたり、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)/AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)医院に勤務したりしていた」

「また他人のために尽くしたいという気持ちから、インドやイスラエル、パレスチナ自治区の人道支援団体でも働いた。最終的にトルコ入りし、そこで戦いによって家を追われたシリア難民らの心を癒やし支援する活動に従事していた」(c)AFP/Andrew BEATTY