【2月4日 AFP】フランス南部ニース(Nice)で3日、ユダヤ人のコミュニティーセンター付近を警備していた兵士3人が刃物を持った男に襲われた。複数の情報筋によると、犯人は先週トルコから国外退去処分を受けたばかりだったという。

 ある警察筋は、「午後2時(日本時間同10時)すぎ、兵士3人がユダヤ系施設前をパトロールしていたところ、通行人が大きな刃物で1人の兵士の顔と首を目掛けて襲い掛かった」と明かした。

 先月首都パリ(Paris)とその近郊で発生したイスラム過激派による襲撃事件を受けて警備が強化されており、兵士らもその一環で警備に当たっていたところを襲われた。警察筋は、兵士2人が軽傷を負い、犯人はその場で現行犯逮捕されたとしている。

 さらに、事件の捜査に近い別の筋の話では、事件発生前に犯人と一緒にいたところを目撃されていたもう一人の人物の身柄も拘束されたという。

 捜査に関わっている治安筋がAFPに明かしたところによると、実行犯は先週トルコから国外退去処分を受けてフランスに帰国し、その際仏情報機関が事情聴取を行った。しかし訴追できるほどの情報は得られなかったという。

 捜査に近い複数の情報筋が、実行犯の名をムサ・クリバリ(Moussa Coulibaly)としている。しかし先月パリ近郊で警官1人を殺した翌日、市内のユダヤ系食品店に立てこもり人質4人を殺害したアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者との「明白な」つながりはないとみられる。

 内務省と国防省が出した共同声明によると、実行犯は「30歳前後でパリ近郊出身、警察が要注意と把握していた人物」だという。ある筋は、男は過去に強盗や薬物使用の罪で罰金刑や執行猶予付きの禁錮刑を受けたことがあるとしている。

 司法筋によると、パリのテロ対策担当の検察当局が捜査を主導している。犯行の動機は分かっていない。

 フランスに暮らすユダヤ人は、欧州内で最多の50万~60万人と推定されている。またフランスには欧州で最も多いおよそ500万人のイスラム教徒が暮らしている。(c)AFP