【1月30日 AFP】オランダ中部ヒルフェルスム(Hilversum)にあるオランダ放送協会(NOS)のテレビスタジオに29日夜、模造銃を持った男が侵入し、メッセージを放送させるよう要求したが、警官に取り押さえられた。放送は一時中断した。

 建物の中にいた人たちは避難した。この事件により、午後8時(日本時間30日午前4時)の同局のニュース番組が中断され、画面には「現在、放送ができません」のメッセージが映し出された。

 放送再開後に放映された短い映像には、滑らかにオランダ語を話し、黒いピストルのようなものを持った男がスタジオの机に歩み寄る姿が映っていた。ダークスーツとワイシャツを着て黒っぽいネクタイを締めた男はカメラのフレームの外にいた男性に静かに話しかけ、自分は「ハッカー集団」の代表だと述べた。

 男が「世界的に重要な問題について話をしたい」と語りかけている声も聞こえた。「われわれは情報機関に雇われた。社会に疑問を投げかける問題を聞いたのだ」「私のメッセージが伝えられたら、私たちはお互いに握手をして、あなたは家に帰れる」

 武装した警官5人が突入し銃を捨てろと叫ぶと、男はすぐにピストルを床に落として両腕を上げた。 画面の外に消えた男は「銃を捨てた!銃を捨てた!」と返事をしていた。その後、「事態は収拾した」と言う警官の声が聞こえた。

 警察は建物を調べ、午後10時(日本時間30日午前6時)すぎに建物の安全が確認されたと発表した。

 検察当局は記者会見し、侵入したのはハーグ(Hague)近郊の町ペイナーケル(Pijnacker)出身の19歳の男で、警察が身柄を拘束して監禁と銃の違法所持の疑いで捜査していると発表した。

 男はテレビ局のスタッフに脅迫状も送り付けていた。NOSがウェブサイトで公開したところによると、脅迫状の中で男は「5人、さらに98人のハッカーがサイバー攻撃の準備を整えた」「放射性物質を仕込んだ8発の強力な爆発物を国内に仕掛けてあり、テレビの生放送でメッセージを送ることを妨害されたら爆発させる」などと主張していた。

 現地の報道によると、男は工科大学の学生とみられており、最近両親が死去したばかりで精神的に不安定な状態だったという。(c)AFP/Jan HENNOP