【1月29日 AFP】2009年当時、期待の高まっていた南北首脳会談の開催の条件として、北朝鮮が韓国に100億ドル(約1兆2000億円)と約100万トン相当の食糧支援を要求していたと、当時の大統領だった李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)氏が、近日出版される回想録の中で明かした。

 また李前大統領は、2010年の韓国海軍の哨戒艦沈没で南北関係が事実上凍結状態となった後も、南北は首脳会談の実現に向けて交渉を続けていたことを明らかにした。

 李前大統領の回顧録「大統領の時間(President's Time)」は、2008~12年の大統領任期中を振り返った800ページに及ぶもので、来週発売の予定。その一部抜粋が29日、報道陣にリークされた。

 韓国と北朝鮮は2000年に歴史的な首脳会談を行い、2007年にも首脳会談を実現した。李前大統領によると、2009年8月の金大中(キム・デジュン、Kim Dae-Jung)元大統領の葬儀に北朝鮮が代表団を派遣した際、3回目の南北首脳会談の実現に向けて動き出したという。その後もシンガポールや南北境界線に近い北朝鮮の開城(Kaesong)などで秘密の交渉が続けられた。

「北朝鮮は国家開発銀行を設立する資金として100億ドルを要求した」と、李前大統領は振り返った。北朝鮮は他にもトウモロコシ10万トン、コメ40万トン、肥料30万トン、アスファルト1億ドル(約120億円)分も要求したという。李前大統領は「(南北)関係の改善の見返りとして北朝鮮が支援を要求したのはばかげていた」と述べている。(c)AFP