【1月27日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は26日、ニューヨーク(New York)で銀行員として勤務しながらロシア政府のために情報提供者の勧誘や経済情報の収集活動を行っていた疑いで、エフゲニー・ブリヤコフ(Evgeny Buryakov)容疑者(39)を逮捕したと発表した。

 ブリヤコフ容疑者は、ロシアの銀行員としてマンハッタン(Manhattan)で働きながら、2012年からニューヨーク駐在のロシア当局者イーゴリ・スポリシェフ(Igor Sporyshev)容疑者(40)とビクトル・ポドブニー(Victor Podobnyy)容疑者(27)の支援を受けてロシア対外情報局(SVR)のための情報活動を行っていたという。

 スポリシェフ容疑者は2010年11月から2014年11月までニューヨークで通商代表を務め、ポドブニー容疑者は2012年12月から2013年9月までロシアの国連(UN)代表部に勤務していた。FBIは2012年3月からこの2人を監視していた。2人には外交官の不逮捕特権が適用されすでに米国を離れているため、本人不在のまま訴追された。

 ブリヤコフ容疑者は外国の情報機関員であることを隠して情報収集活動をしていた容疑が、スポリシェフ容疑者とポドブニー容疑者はブリヤコフ容疑者の違法な情報活動を支援した容疑がかけられている。

 米国では外国の情報機関員であることを隠して情報収集活動を行うと違法になる。ブリヤコフ容疑者が有罪となれば15年の禁錮刑となる可能性がある。米検察当局によると米国の法律ではスポリシェフ容疑者とポドブニー容疑者は米国内で情報収集活動をする上で外国の情報機関員であることを明らかにする必要はないが、ブリヤコフ容疑者を支援することは認められていないという。

 3人は暗号を用いて接触の日取りや場所を決め、米当局の傍受を避けるために屋外で直接会って情報のやり取りをしていた。FBIの訴状によるとSVRの経済部門のために働いていた情報活動は退屈なもので、人気アクション映画『007』シリーズのジェームズ・ボンド(James Bond)の世界とは程遠いとこぼしていたという。

 米国でロシアによるスパイ行為が発覚したのは、2010年にアンナ・チャップマン(Anna Chapman)さんらロシアの情報機関員10人がニューヨーク一帯で逮捕され、ロシアに拘束されていた米国人スパイとの交換で帰国した事件以来。(c)AFP/Jennie MATTHEW