【12月19日 AFP】オーストラリアのシドニー(Sydney)で起きたカフェ立てこもり事件の容疑者が、別の事件で訴追されながら事件当時、自由の身だったことに怒りの声が広がる中、容疑者の弁護人だった弁護士と保釈を認めた治安判事が殺害の脅迫を受けていた。当局者が19日、述べた。

 イラン生まれの自称イスラム教聖職者、マン・ハロン・モニス(Man Haron Monis)容疑者(50)は15日、シドニーの金融街中心地にあるカフェに17人の人質を取って立てこもった。事件は警察の突入で幕を下ろしたが、カフェ店長のトーリ・ジョンソン(Tori Johnson)さん(34)と、法廷弁護士で3児の母親だったカトリーナ・ドーソン(Katrina Dawson)さん(38)の人質2人、そしてモニス容疑者が死亡した。

 モニス容疑者は事件前から過激思想の持ち主として当局にマークされており、また、事件前に性的暴行や元妻の殺人幇ほう助などの複数の罪状で訴追されていたが、保釈されていた。

 そのためオーストラリアでは、国民の安全を守ることに当局が失敗したとの批判が高まっており、トニー・アボット(Tony Abbott)首相が迅速な調査を指示した。だが怒りの矛先は、モニス容疑者の釈放を認めた治安判事や、モニス容疑者の弁護人を務めた弁護士にまで向かっている。(c)AFP