ロシアの組織的ドーピング疑惑、WADAも調査開始
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【12月17日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は16日、ロシアのスポーツ選手に広がっているとされている「深刻な」薬物違反について、独自に調査を開始すると発表した。
WADAはこの日発表した声明の中で、調査委員会を率いるのは元WADA会長で、国際オリンピック委員会(IOC)でも長らく主導的な役割を果たしたリチャード・パウンド(Richard Pound)氏になることを明らかにしている。
WADAは今月はじめ、ロシア出身選手が国際大会で組織的に薬物違反を行っていると訴えるドキュメンタリー番組がドイツで放映されたことを受け、行動を開始していた。ロシアの関係者は、疑惑を強く否定している。
声明によれば、委員会の目的は研究所、選手、監督、指導者、医師などによる「世界ドーピング防止規程(WADA Code)、あるいは国際基準の手続きおよび規則への違反があったか」を確認することになるとしている。
委員会は、「十分な数の証拠が存在するかを調査する。その結果次第では、WADA規程に照らして個人、あるいは組織に処分が下される可能性もある」との見解を示している。
委員会には、国際スポーツ法の先導的人物で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の一員でもあるリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏も参加する。
WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、委員会が、機関へ「別個に」届けられたドキュメンタリーの映像素材と情報を分析すると述べた。
リーディー会長は「規則に対する違反や侵害が見つかった場合、世界ドーピング防止規程に照らして、当該の個人、または組織に対して適切な処置を行うことを約束する」と話した。
「委員会には必要な物をすべて与え、徹底的に調査を行ってもらう」
国際陸上競技連盟(IAAF)も、WADAの発表を歓迎している。IAAFの倫理委員会は、こちらもWADAと同じく、疑惑の調査を行っている。
IAAFのラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)会長は、「IAAFがWADAの調査に全面的に協力することを、この機会に改めて約束させてもらう」とコメントした。
「われわれの一番の目的は、常にこの競技の威厳を守り、大多数を占めるクリーンな選手を支えることでなくてはならない。そのために、WADAの調査には期待している」
IAAFの声明ではさらに、連盟の倫理委員会は「問題になっている事案について、徹底的かつ綿密に精査する」と述べられている。
IAAFではすでに、会計担当のワレンティン・バラフニチェフ(Valentin Balakhnichev)氏と、マーケティングコンサルタントのパパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏が職を追われている。
バラフニチェフ氏はロシア陸上競技連盟(ARAF)の会長で、今回の件について関与を疑われた。
一方、マッサタ・ディアック氏はラミーネ会長の息子で、こちらは2017年に行われる第16回世界陸上の開催地決定過程で、不正に関わった疑いが持たれたため、職を辞した。同大会はロンドン(London)が開催地に選ばれている。
しかし、50歳のディアック氏とバラフニチェフ氏は、どちらもそれぞれの疑惑を否定している。(c)AFP