【12月16日 AFP】2012年に発展途上国から不正に流出した資金の総額が1兆ドル(約119兆円)近くに上ることを、不正な資金移動の撲滅に取り組むグローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(Global Financial IntegrityGFI)が15日、明らかにした。汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)、貿易書類の偽造が記録的なレベルでまん延する途上国の実情を浮き彫りにする結果だ。

 米ワシントンD.C.(Washington D.C.)に拠点を置く非営利団体(NPO)グローバル・フィナンシャル・インテグリティーによると、2003~12年の10年間、世界における不正な資金移動は、経済成長率の約2倍に当たる年9.4%のペースで増え続けた。特に貧困国からの資金流出が顕著だったという。

 不正な移動資金の規模では、大国ながら規制の緩いブラジル、中国、インド、ロシアなどが最も大きく、中国の場合はこの期間に毎年約1250億ドル(約15兆円)の資金が流出していた。

 途上国と新興国を合わせた2012年の不法な資本移動は9912億ドル(約118兆円)で、海外からのこれらの国に対する投資額と援助額の合計を上回る。さらに12年までの10年間にこれらの国々から流出した資金の総額は、世界経済のほぼ4%に相当する6兆6000億ドル(約784兆円)に達した。

 不正な資金移動による悪影響が最も大きかったのは、中東や北アフリカ、サハラ以南のアフリカの国々だった。

 不正の手段としては、貿易関連の請求書を偽造して輸出業者と輸入業者が継続的に国外に資金を持ち出すという手法が主だった。

 グローバル・フィナンシャル・インテグリティーは、途上国での貧困をなくし経済成長を促すためには各国と国連(UN)が集中して不正な資金移動の撲滅に取り組む必要があると指摘している。

2012年に不正な資本移動額が大きかった上位10か国は以下のとおり。

1. 中国               2495億7000万ドル(約29兆6500億円)
2. ロシア            1228億6000万ドル(約14兆5600億円)
3. インド              947億6000万ドル(約11兆2600億円)
4. メキシコ           596億6000万ドル(約7兆900億円)
5. マレーシア        489億3000万ドル(約5兆8100億円)
6. サウジアラビア  465億3000万ドル(約5兆5300億円)
7. タイ                 355億6000万ドル(約4兆2200億円)
8. ブラジル           339億3000万ドル(約4兆300億円)
9. 南アフリカ        291億3000万ドル(約3兆4600億円)
10. コスタリカ      215億5000万ドル(約2兆5600億円)

(c)AFP