【12月15日 AFP】世界各国が防衛支出を削減する中、ロシアの武器メーカーは同国政府が軍事支出の増強を続けていることを受け、売上高を伸ばし続けている──スウェーデン・ストックホルム(Stockholm)に拠点を置くシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research InstituteSIPRI)が15日、最新の報告書で明らかにした。

 SIPRIのシーモン・ウェゼマン(Siemon Wezeman)上席研究員は、「ロシア企業による武器販売は、2012~13年に大幅な伸びをみせた。これは主に、同国政府が2000年以降、軍による武器調達に必要な資金を継続的に支出しているためだ」と説明した。SIPRIによれば、同国に本拠地を置く武器メーカーの売り上げは2013年、前年比20%の増加を記録した。

 一方、武器取引の規模で上位100位に入る各国(中国を除く)は、2013年まで3年連続で購入額を減らしている。同年の武器購入費は世界全体で、前年比2%減の総額4020億ドル(約47兆5000億円)だった。

 ロシアの武器メーカーのうち、2013年の売上高が前年比118%増と最大の伸びを記録したのは、タクティカル・ミサイル・コーポレーション(Tactical Missiles Corporation)だった。次いで高い成長率を示したのは、34%増となったアルマーズ・アンテイ(Almaz-Antey)だった。

 なお、SIPRIの報告書は、信頼に足るデータが不足しているためとして、中国を調査対象に含めていない。世界第2位の規模を誇る軍事予算に恵まれた中国軍は、国内企業から武器を調達している。さらに報告書は、米国の武器メーカーの売り上げが4.5%減少したことについて、アフガニスタンとイラクからの同国軍の撤退が主因だと指摘している。

■欧米企業が依然リード

 売り上げが減少したとはいえ、世界の武器メーカーの売上高の上位10社のうち6社は、依然として米国企業が占めている。

 1位は米ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)で、2013年の売上高は355億ドル(約4兆2000億円)。2位も同じく米国企業のボーイング(Boeing)だった。

■各国の武器購入費は減少

 SIPRIが今年4月に公表した前回の報告書によると、世界各国の武器購入向けの支出は2013年、前年比1.9%の減少となった。欧米諸国の武器購入費の減少が影響したとされている。

 また、同じ報告書によると、ロシアの軍事支出は2004年以降、倍以上にまで膨らんでいる。ロシアは2013年、米国と中国に次いで世界で3番目に防衛支出が多い国となった。(c)AFP