【12月4日 AFP】インドで、知的障害や精神障害のある女性たちが施設に閉じ込められ、性的虐待や暴行など「動物以下の扱い」を受けていると非難する報告書を、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)が3日、発表した。

 報告書によると、女性たちはしばしば、基本的設備すら整っていない過剰収容の公営施設に放り込まれるが、そこでは知的障害や精神障害のある人が「あざ笑われ、おびえさせられ、汚名を着せられている」という。

 報告書を執筆したクリティ・シャルマ(Kriti Sharma)氏によれば、「閉じ込められた女性たちの生活は孤独や恐怖、虐待にあふれ、脱出できる希望もない」。特に、障害のある女性や少女たちは、性的暴力の対象となったり、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)を否定されたりしているという。

「動物以下の扱い(Treated Worse than Animals)」と題された同報告書は、こうした施設に入所中か過去に入所していた女性と少女52人と、家族や医師150人を対象にした聞き取り調査に基づいている。

 報告書の中で、ある11歳の少女は「私を学校に送迎する職員は、私をたたく。施設内でもたたかれる。手で強くたたかれる」と語った。「たたかれると泣きたくなるし、悲しくなる。学校でも泣きたくなる。ここから出たい」

 インド政府の統計では、同国の知的障害者は約150万人、精神障害者は約72万人とされている。しかし、インドには医師の診断を受けない人々が多く、専門家は実際の人数はずっと多いと指摘している。

 インド西部プネ(Pune)の精神科病院のビラス・バイルメ(Vilas Bhailume)院長は、入院患者の数が施設の収容能力を大幅に超過しているのが最大の問題だと報告書に証言した。同病院では、1850人以上の入院患者に対し、トイレが100か所しかないうえ、きちんと機能しているのは25か所ほどで残りは詰まってばかりなため、トイレ以外での排便が常態化しているという。

 インドでは強制入院は違法だが、報告書によると、障害のある女性が家族や法的保護者らにより強制的に入院させられる事例も多いという。(c)AFP