【12月4日 AFP】香港(Hong Kong)の民主派による街頭占拠デモは、さらなる直接行動を叫ぶ一部の先鋭的なグループと、その他の撤収を呼び掛ける者たちの間で運動方針をめぐる分裂が生じ、瀕死の状態に陥りつつある。だが、どのような形で終わるにせよ、今回のデモは前代未聞の数の市民を動員し、政治的討論を促し、香港の政治情勢に後々まで及ぶ影響をすでにもたらしたと専門家らは述べている。

 香港の民主派は、完全な自由選挙による次期行政長官選挙の実施を求め、最盛時には数万人を超える市民が参加する大方は穏やかな運動を行ってきたが、11月30日に起きた機動隊との激しい衝突は、行政府から政治改革に関する譲歩を引き出せなかった学生たちのいら立ちを露わにするものだった。

 抗議行動の学生リーダー、ジョシュア・ウォン(Joshua Wong、黄之鋒)さん(18)ら学生3人が1日、「無期限」のハンガーストライキに突入した一方で、デモを最初に呼び掛けた市民グループ「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)」の共同発起人3人は翌日、警察に出頭する意向を示し「降伏」を宣言し、学生らには撤収するよう呼びかけた。

 中国政府が後ろに控える香港行政府は、民主派に対する強硬姿勢を崩しておらず、民主派側は急いで効果的な対抗戦略を探す中、分裂しつつある占拠行動は最終段階に入るだろうと評論家らはいう。

 香港教育学院(Hong Kong Institute of Education)の政治専門家、ソニー・ロー(Sonny Lo)教授は「最終決着が近づいている。いつ、どのように起きるかは分からない。遅かれ早かれ降参する者、とどまる者、警察に抵抗する者が分かれるだろう。現在よりも過激な一派によるもっと暴力的な衝突が起きる現実的な危険性もあるだろう」と語った。

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の政治評論家ウィリー・ラム(Willy Lam)氏は「我々は今、今回の運動の最終的な局面を目にしつつある。(オキュパイ・セントラル)のベニー・タイ(Benny Tai)氏や民主派寄りの政治家らは、行政府庁舎がある金鐘(アドミラルティ、Admiralty)地区の幹線道路を今も占拠する学生を中心とするグループに自主的な戦略的撤収を求めて、プレッシャーをかけ続けている。そして世論も占拠行動のこれ以上の継続に背を向けてきている」と話す。香港当局は近く、金鐘地区で警察によるさらなる措置が講じられることを示唆している。