【11月14日 AFP】デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は14日、イラクやシリアなどでイスラム過激派に合流した英国人の旅券を無効化して帰国を阻止する新たな反テロ法案の概要を明かした。この法案には、英政府の搭乗拒否リストに従わなかった航空会社に英領土への着陸を禁止する条項も盛り込まれている。

 豪ブリスベーン(Brisbane)で開催される20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)を前に、キャメロン首相は豪議会で行った演説の中で「英国はまもなく新たな反テロ法案を提出する」と述べ、この問題に関し、選択の余地はないとの姿勢を示した。

 英メディアによれば、今月議会に提出される新反テロ法案では、シリアとイラクから帰国する英国人には、厳格な措置に従わない限り少なくとも2年間、帰国を許可しない新条項が盛り込まれている。その措置には、過激派に合流した英国人は本国へ護送して起訴することや、定期的な報告義務を条件とする保釈状態に置くこと、過激思想から脱却するためのプログラムを受講させることなどが含まれている。

 また国境警備隊と空港警察には、テロリズム目的で海外渡航を計画している疑いのある人物の旅券を没収する新たな権限が付与される。

 イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が進撃を続けるイラクとシリアで、過激派に合流している英国人は約500人いるとみられている。英政府はイラクとシリアの状況を憂慮し、テロ警戒レベルを8月に、テロ攻撃の可能性が高いことを示す「重大(severe)」に引き上げている。(c)AFP