【11月13日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)は12日、ロシア軍がウクライナ東部に戦車や部隊を送り込んでいると発表した。高まる全面的な戦闘再開の危機に、9月に同国政府と親ロシア派分離勢力が調印した停戦協定が揺らいでいる。

 NATO欧州連合軍の最高司令官を務める米軍のフィリップ・ブリードラブ(Philip Breedlove)大将は、ブルガリアの首都ソフィア(Sofia)で記者会見し「われわれはロシア車両の隊列を目撃している。戦車を中心に、ロシア製の火器や防衛システム、ロシア軍部隊がウクライナに侵入している」と発表。「総数は現在のところ不明だが、多数を目撃したのは事実だ」と述べた。

 ウクライナのステパン・ポルトラク(Stepan Poltorak)国防相は、東部でのロシアと親露派勢力の「活動増加」を受け、新たな戦闘任務への備えを進めていることを明らかにした。また、国連(UN)事務総長補佐のヤンス・アナス・トイベルグフランゼン(Jens Anders Toyberg-Frandzen)氏は国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会議で、「全面的な戦闘が再び起きる可能性を深く憂慮している」と表明した。

 一方のロシア政府は、NATOの主張を「事実無根」と否定している。アレクサンドル・パンキン(Alexander Pankin)露国連次席大使は、国連安保理の緊急会合で「新たなプロパガンダの開始だ」とNATOを非難した。(c)AFP