【11月7日 AFP】米フロリダ(Florida)州で、ホームレス支援の一環で行った食事提供の方法が条例に違反していたとして、90歳の社会運動家や教会関係者が今週2回にわたり逮捕された。この運動家はたとえ刑務所へ行くことになっても、慈善活動を止めるつもりはないと宣言している。

 保養地として知られる同州フォートローダーデール(Fort Lauderdale)でホームレス支援の食事提供をして警察に拘束されたのは、アーノルド・アボット(Arnold Abbott)さん(90)と地元教会に所属する2人の牧師。

 同市では前月、公共の場におけるホームレスの人々への配食について新たな制限を課す条例を可決した。新たな条例では、半径約150メートル以内の配食場所は1か所にすることや、配食場所は住宅から約150メートル以上離れた場所に設営することなどを定めている。また1区画内で複数のグループが同時に配食を行うことはできないと制限している。

 アボットさんらはこうした条例に違反した疑いで逮捕された。有罪となれば最高で禁錮2か月、罰金500ドル(約5万7000円)を科される可能性がある。しかし、アボットさんは6日、米NBCテレビのインタビューに対し、ホームレス支援の食事提供は止めないと述べ「私がおびえることなどまったくない。彼らを打ち負かすまで絶対に続ける。ホームレスの人々を見えなくして知らないふりはできない」と語った。

 警察は、アボットさんらを逮捕したことについて、単に法を執行したまでだとして正当性を主張し「条例の目的はホームレス支援の配食を阻止することではなく、市の住民全体のニーズのバランスを図ることだという点を強調したい」と答えた。

 ホームレス支援活動家らは今回の件について、全米の自治体で生活困窮者への配食ネットワークに対する取り締まりが増えている傾向を浮かび上がらせるものだと述べている。路上生活者の支援組織・全米ホームレス連合(National Coalition for the HomelessNCH)は「2013年1月以降、ホームレス状態にある人々への食料・食事の分配を制限した自治体は21都市に上っており、さらに少なくとも10都市が同様の条例の承認待ちをしている」と指摘している。(c)AFP