【11月4日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者だったウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を潜伏先のパキスタンで急襲した米軍の作戦で、自分がビンラディン容疑者を殺害したと主張する米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ、Navy SEALs)隊員のドキュメンタリー番組が放映されることを受け、シールズの司令官が、同エリート部隊の「秘密と謙遜」の伝統を破り、回顧録の出版やメディアの取材に応じる隊員たちを叱責する文書を公表した。

 米FOXニュース(Fox News)は「ウサマ・ビンラディンを殺した男(The Man Who Killed Usama Bin Laden)」と題するドキュメンタリー番組を今月放送することを発表した。これを受け、米海軍の特殊作戦司令部(Naval Special Warfare Command)の司令官を務めるブライアン・ロージー(Brian Losey)准将は部下に対し、秘密作戦の詳細を暴露して名声や財を得ようとする人物を非難する書簡を記した。

 3日にAFPが入手した10月31日付の書簡によれば、ロージー司令官は、マイケル・マガラシ(Michael Magaraci)司令部最上級兵曹長との連名で「わが軍の重要な信条は『自らの任務の性質を公表することも、自らの行動に対する評価を求めることもしない』というものだ。知名度や金銭上の利益と引き換えに、わが軍の基本的価値観を意図的あるいは利己的に軽視する態度をわれわれは容認しない。そうした軽視は本来、栄誉ある任務や勇気、犠牲をおとしめるものでしかない」と痛烈に批判している。また謙虚に匿名性を守るという厳しい行動規範は「一生涯続く誓約かつ義務」であり、これを軽視する者はもはや「正規の」隊の一員ではないと突き放している。

 さらに書簡では、機密情報を暴露し「意図的に法を犯した隊員については、わが軍は積極的に法的結論を求めていく」とも述べている。

 FOXニュースはこのドキュメンタリー番組の放送を中止する予定はないとしている。(c)AFP/Dan De Luce