■グループを特徴づけるそれぞれの「儀式」

「ギャングに加わることは自由だが、辞めることは難しい。ギャングから足を洗いたくなった際には他のメンバーが殺しにやってくる。家族もろともだ」とホセさんは話す。

 ギャンググループへの入会に当たっては、グループによってそれぞれ異なるものの、13~18秒の間殴られ続けたり、敵対するグループのメンバーを殺したりといった「儀式」を経ることになる。

 グアテマラのカルロス・メノカル(Carlos Menocal)元内務相は「敵が存在しない、もしくは殴ったり銃の引き金を引いたりしたことがないギャングは(本当の)ギャングではない」と話す。

 ギャングたちが使う言葉は、彼らの世界を垣間見せてくれる。「おしゃべりな人」という意味の「ranfleros」や「palabreros」という単語は、命令を下す人物を指す。また、旗を意味する「banderas」は見張り役、兵士を意味する「soldados」は恐喝で得た金を集める担当のことだ。さらに家賃である「renta」や戦争税を意味する「impuestos de guerra」は、現金そのものを表している。メノカル元内務相によると、ギャングたちはこの他にも独自のハンドジェスチャーも駆使しているという。

 ホセさんは「ギャングのトップはたとえ刑務所に入っていても命令を下すことができる。外の人間が何が起きているのかを彼らに報告するためだ。彼らは毎週会議を開き、殺人や脅迫の計画など、あらゆることを話し合う。メンバーの誰しもが日々の任務を抱えている」と説明する。また「ギャングたちによる恐喝や銃撃戦を恐れて住民たちが出ていくと、メンバーたちはその家を住居目的で使う他、何らかの作戦や敵グループのメンバーを拷問したりするために使う。こうした家のことをギャングたちは、『壊し屋の家』とか『狂った家』と呼ぶ」と続けた。ホセさんによると、メンバーたちは食料や服を買ったり、家族を養うための金を週ごとにもらっているという。

 メノカル氏によると、以前は多くのメンバーがぶかぶかの服を着ていたが、最近はより目立たない服装で行動しているとされる。また、メンバーらは多岐にわたる銃器を所有しており、「闇市場ですぐ手に入る、9ミリ口径の拳銃やカラシニコフ自動小銃(AK-47)を彼らは好んでいる」と説明した。