【10月29日 AFP】ソフトバンク(SoftBank)は28日、インドのインターネット通販大手スナップディール(Snapdeal)に6億2700万ドル(約680億円)出資し、同社の筆頭株主となると発表した。

 孫正義(Masayoshi Son)氏率いるソフトバンクは中国の電子商取引大手アリババ(阿里巴巴、Alibaba)への出資で巨額の利益を上げた。インドでも同様の成功を目指す。

 ソフトバンクが出資したスナップディールは、「インドのアリババ」を自認する企業で、急拡大するインドの電子商取引市場で飛躍的な成長を遂げている。ソフトバンクは今後数年間でインドに100億ドル(約1兆800億円)の投資を行う計画で、スナップディールへの出資はその一環だという。

 スナップディールのクナル・バール(Kunal Bahl)最高経営責任者(CEO、30)は28日、ソフトバンクとの提携に「興奮している」と語った。

 米国で工学と経営学の学位を取得したバール氏は、卒業後に米マイクロソフト(Microsoft)に入社したが、査証(ビザ)の問題で米国から強制退去させられた。バール氏はインド帰国後、インド工科大学(Indian Institute of Technology)の卒業生で、かつてバール氏と同じ学校に通っていたロヒト・バンサル(Rohit Bansal)氏とチームを組んで商取引業界に参入した。

 2人は複数の企業を立ち上げたが、一時は給与支払いのめどが立たない時期さえあったという。だが中国訪問中にアリババを知った2人は、不動産コストが事業拡大の阻害要因となっているインドで、幅広い消費者層をターゲットにした事業者を支援するネット通販サイトの構築を決断した。

 小売業のコンサルティング企業テクノパック(Technopak)によると、国内の小売市場で電子商取引が占める割合は米国では7%、中国では10%に達しているが、インドでは0.8%ほどしかない。「旅は始まったばかり。その(市場の)潜在力を理解するのはある意味困難だろう──とてつもなく巨大だからね」とバール氏は笑顔で語った。(c)AFP/Penelope MACRAE