【10月17日 AFP】イタリアの報道によると、同国北部の病院で亡くなった患者たちの遺体と自分を一緒に撮影していた看護師が、患者のうち1人を殺害した容疑で逮捕された。他の数十人の患者の死への関与も疑われている。

 今月9日に逮捕されたのは、イタリア北部ルーゴ(Lugo)の病院に勤務するダニエラ・ポジャーリ(Daniela Poggiali)看護師(42)。この病院で死亡した78歳の女性の司法解剖を行ったところ、生命に危険を及ぼすレベルのカリウムが検出された。この件に関する詳細が徐々にメディアで報じられるとともに、死亡しているとみられる患者の横で笑みを浮かべている金髪のポジャーリ看護師を撮影した写真が複数流出した。

 同病院では3か月間に死亡した患者86人のうち38人が亡くなった際に、この看護師が当番だったことを突き止め調査に乗り出した。他の看護師たちが当番のときに亡くなった患者の数は平均10人だった。

 ポジャーリ看護師には、「手のかかる」患者に大量のカリウムを注射した疑いがかけられている。ポジャーリ看護師は同じ病棟に勤務する同僚たちとうまくいっていなかったとの報道もある。また当番を交替する際、引き継ぐ同僚看護師たちへの嫌がらせとして、自分のシフトが終わる直前に患者に下剤を投与していたとの報道もある。

 カリウムは血中濃度が上がりすぎた場合、心停止を招く可能性がある。米国では薬物注射による死刑囚の処刑に使用されている。

 警察によれば、死亡した78歳の女性にカリウムを注射することが可能だったのはポジャーリ看護師だけだったという。しかし、カリウムは数日で血中から消失するため、死亡した他の患者が同様の方法で殺害されたのかどうかを実証することは難しいという。

 患者が亡くなった直後に、遺体と自分を一緒に写真を撮るよう同僚たちに頼んでいたというポジャーリ看護師は、殺人容疑に関してはでっち上げだとして否定している。(c)AFP