【10月16日 AFP】F1第15戦日本GP(Japan Grand Prix 2014)決勝で頭部に外傷を負ったマルシャ(Marussia F1 Team)のジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)について、所属チームのマルシャが15日、ビアンキとチームが安全指示を無視した結果、命を脅かされる重大事故に遭ったとの報道に対して、完全な誤りだと怒りを示した。

 25歳のビアンキは、10月初旬に行われた日本GP決勝で、撤去用車両と衝突する事故に遭った。

 豪雨の中で行われた日本GP決勝では、ザウバー(Sauber)のエイドリアン・スーティル(Adrian Sutil)が、ビアンキが事故に遭ったのと同じ場所でスリップしていたため、マーシャルがダブルイエローフラッグを振っていたが、ビアンキがその区間で減速しなかったとの報道が出ている。

 またドイツ誌スポーツ・ビルト(Sport Bild)は「新情報」として、チーム幹部がビアンキに対し、ケータハム(Caterham F1 Team)のマーカス・エリクソン(Marcus Ericsson)の前の位置を保つため、速度を上げるよう指示したと報じている。

 しかしチームは、「マルシャF1チームは、これらの主張にショックを受け、怒りを覚えています」と声明を発表し、報道を激しく否定した。

「チームのドライバーが病院で重篤な状態にあるこの時、またわれわれにとっての最優先事項が、ジュールとその家族に対する配慮であるとチームがはっきり表明しているこの時期にあって、遺憾なことに、事故当時の状況についての非常に失礼な憶測、また不正確な情報に対処せねばならなくなりました」

 恐ろしい事故の後、ビアンキはすぐさま近くの病院へ搬送されて脳の緊急手術を受けた。本人は深刻だが安定した容体を保っており、家族も変わらずそばに付き添っている。

 マルシャは「こうした主張はまったくのでたらめです」と続けた。

「第1点については、ジュールはダブルイエローフラッグが振られた中で減速しました。これは、テレメトリーデータからも証明されている反論しようのない事実であり、データはすでに国際自動車連盟(International Automobile FederationFIA)に提出しています」

「第2点についても、ジュールとチームの間で交わされたすべての無線通信、書面での記録のコピーをFIAに提出しています」

「無線と記録から、ジュールの事故に至る時間帯のどの時点においても、チームがドライバーに速度を上げるよう促したり、そうすべきだと示唆するコメントを発したりしていないことは、極めて明白です」

 レース責任者のチャーリー・ホワイティング(Charlie Whiting)氏も、具体的な数値は明かさなかったが、ビアンキは指示に従って間違いなく減速したと述べている。ダブルイエローフラッグが振られた区間では、ドライバーは必要であればすぐに停止できるまで、マシンを減速させなければならない。

 F1は現在、ビアンキのような事故の再発を避けるための今後の安全手段として、自動的に作動する速度制限システムの導入を検討している。(c)AFP