【9月21日 AFP】ウクライナ東部の戦闘終結を目指して19日からベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で直接交渉していたウクライナ政府と親露派は20日未明、緩衝地帯の設置や欧州安保協力機構(Organization for Security and Cooperation in EuropeOSCE)による停戦監視を柱とする9項目の行動計画に合意した。

 行動計画によると、ウクライナ政府軍と親露派は21日未明までに撤退し、ウクライナの主要工業地帯でロシア語圏の同国東部をウクライナの残りの地域から分断している前線に沿って緩衝地帯を設け、OSCEが停戦監視団を配置する。また「外国の武装集団」や雇い兵も紛争地帯から全面撤退することになっている。

 今回の合意は、ウクライナ政府と親露派が今月5日に合意しロシア政府も支持している停戦の維持に向けた取り組みを具体的に規定している。ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は、この5か月間に3000人近くが死亡し、国の存続を脅かしている親露派との戦闘を終結させる道筋を模索していた。

 こうした中、北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍のフィリップ・ブリードラブ(Philip Breedlove)最高司令官は20日、NATOの会合が開かれたリトアニアで、ウクライナ政府軍と親露派の衝突が続いているのは2週間前の停戦合意が「名ばかり」であることの裏付けだと述べ、ロシアが欧米諸国との関係を深めようとしているウクライナの分断を狙って自国の兵士を親露派に関与させていると非難。「(停戦合意は)名目上存在するが、現場では全く別のことが起きている」と述べた。

 その上でブリードラブ氏は、ミンスクでのウクライナ政府と親露派の交渉に言及し、「双方が新たな停戦実現に向けて合意できると心から期待し、願っている」と交渉の成果に期待感も示していた。

 また、OSCE議長国スイスのディディエ・ブルカルテル(Didier Burkhalter)大統領は、「停戦を持続可能なものとする重要な一歩であり、危機の平和的な解決に向けた努力への大きな貢献」だとして、ミンスクでの交渉を歓迎した。

 しかし、親露派の支配地域であるウクライナ東部ドネツク(Donetsk)市当局者がAFPに語ったところによると、同市郊外にある旧ソ連時代の軍需工場が20日、9項目の行動計画が合意された数時間後に何者かによって数回砲撃されており、停戦が順守されるかどうかは不安視されている。(c)AFP/Dmitry ZAKS with Vaidotas BENIUSIS in Vilnius and Joe SINCLAIR in Donetsk, Ukraine