【8月27日 AFP】米小売大手ギャップ・インク(Gap Inc.)がインドに40店舗をオープンすると発表した。同社は、中流階級が拡大しつつあるインドに進出する外国企業の一つに名を連ねることになる。

 同ブランドのグローバルプレジデントであるスティーブ・サナックス( Steve Sunnucks)氏は声明で、「インドは活発な新興市場で、弊社のグローバル戦略において重要なステップです」と説明した。

 「ギャップ」は手始めに、ショッピングが特に盛んな首都ニューデリー(New Delhi)と金融中心都市ムンバイ(Mumbai)にフランチャイズ運営の店舗を来年オープンさせる。進出にあたっては、繊維大手アルビンド(Arvind)傘下の「アルビンド・ライフスタイル(Arvind Lifestyle)」と提携。「アルビンド・ライフスタイル」のJ・スレシュ(J. Suresh)社長は独自の声明で、「われわれの目標は、インドにギャップのフランチャイズ店を迅速かつ大幅に増やしていくことにある」と発表した。

 すでに約50か国に進出し、第二四半期の売上高は昨年度比25%増の3億300万ドル(約315億3000万円)と好調に業績を伸ばす「ギャップ」は、インドの隣国中国で、すでに急速な販路拡大を遂げつつある。今年末までに中国本土に加え、香港(Hong Kong)と台湾(Taiwan)に計110店舗を展開する計画だ。

■若年層の多い新興国に狙い

 12億5000万人という世界第2位の人口を抱え、うち半数が25歳未満というインドは、カジュアルウエアを展開する「ギャップ」にとって有望な市場になり得ると、同社は見ている。

 サリーや長いシャツにゆったりしたズボンがセットになったサルワール・カミーズなど伝統衣装を着る人が多いものの、ジーンズやTシャツなどカジュアルな服を着る若者が増えているという。「(インドの若者たちは)今日の小売環境にあるファッションを積極的に取り入れている」と「ギャップ」のグローバルフランチャイズのイスマイル・セイス(Ismail Seyis)ヴァイス・プレシデントは語った。

 ブランドの売り上げの4分の3以上を占めているのは引き続き北米市場だが、「ギャップ」は急速に拡大する新興国にさらなる成長を見込み、ますます大きな重点を置くようになっている。

 一方、「アディダス(Adidas)」や「リーボック(Reebok)」といった大手はすでにインドに進出しているものの、外国の小売企業がインド国内で大規模な展開を行うのは店舗スペースの不足や法令面での足かせがあり困難でもある。

 ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)新首相はより企業に優しい環境づくりを公約しているが、大手小売業者が小規模の競合相手、特に家族経営の店舗などの廃業を招くとする政治的な懸念は根強く残っている。(c)AFP